2020年03月19日

神戸大学長の武田廣です。

 

神戸大学を卒業、修了される皆さん、博士論文により本学の学位を取得される皆さん、卒業並びに修了、誠におめでとうございます。神戸大学長として、心からお祝い申し上げます。

本来ならば、皆さんと一堂に会し、旅立ちを祝福したいと考えておりましたが、必威体育の世界的な流行が叫ばれる中、感染拡大防止という観点から、今年度の学位記授与式開催をあえて見送ることとしました。人生の節目となるこの式典を心待ちにしていた皆さんにとって、本当に残念なことと思います。私も苦渋の決断でした。しかし、本学の社会的責任、そして何より、4月から新生活を迎える皆さんの、生命と健康を守ることを最優先にした結果であることを、どうかご理解ください。

ご家族の皆様、この度はおめでとうございます。これまでのご家族のご苦労を思いますと、晴れの門出の式典が出来なくなりましたことは誠に遺憾ではありますが、何とぞご理解いただきますようお願いいたします。

 

さて、皆さんは、これから夢と希望を胸に秘め、それぞれの新しい世界へ飛び立とうとされています。しかし、そこには、複雑で解決が容易ではない課題が数多く待ち受けています。人、モノ、情報が世界を駆け巡るグローバル社会が、ますますその規模、スピードを増し、かつて経験したことのない事態が広がりつつあることは、今般の必威体育感染の世界的な流行を見ても、明らかです。この感染症を克服するためには、迅速な診断方法、治療薬やワクチンの探索?開発など、医学を中心とした自然科学の貢献が求められます。同時に、防疫、経済活動の維持、差別や社会的混乱の防止などには、社会科学、人文科学の専門的な知見も不可欠です。関係各国の連携も必要でしょう。政府も企業も様々な活動を進めていますが、各国の大学?研究機関などのアカデミズムの役割は、非常に大きいものがあります。本学医学部も、国内6国立大学による共同研究に参加し、必威体育感染症の克服に貢献したいと考えています。

神戸大学は社会科学分野をはじめ、文系?理系双方の分野に強みを有する伝統と特色を生かし、「先端研究?文理融合研究で輝く卓越研究大学へ」のビジョンを掲げて、「学際融合」、「異分野連携」を進めてきました。「連携」や「融合」は、社会的課題に則したインパクトのある研究成果を生み出す原動力となり得ますが、これは大学だけでなく、企業など実社会で求められている、イノベーションのカギとなるはずです。

皆さんは、このような気風と伝統を有する神戸大学で学位を取得され、高い専門力と実践力の双方を身につけられました。今回のような大変厳しい状況の下でも、本学で学ばれ培われた実力を遺憾なく発揮され、世界に貢献できる人材として、また地域の課題を解決できる人材として、活躍いただくことを期待しております。

最後に、兵庫県?神戸市や地域社会の皆さま、さらに本学の卒業生が活躍している企業?組織など、本学をご支援いただいている皆さま、神戸大学は「知の拠点」として、本学構成員が持つ様々な知見を生かして、この非常事態の解決に少しでも貢献できればと思っています。今後もまた、社会に対し様々な形で積極的に貢献しながら、数多くの優秀な人材を輩出していきたいと考えております。これまでにも増して、ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

以上で、簡単ではありますが、私から皆さんへのメッセージといたします。