神戸大学工学研究科の山崎寿一教授が「2015年度日本建築学会賞 (論文)」を受賞しました。
日本建築学会賞は、建築に関する学術?技術?芸術の進歩発達をはかるとともに、わが国の建築文化を高める目的で、建築に関する特に優秀な業績を表彰するものです。日本建築学会賞 (論文) は、1949年に設置された賞で、近年中に完成し発表された研究論文であり、学術の進歩に寄与する優れた論文が対象となる名誉ある賞です。
山崎寿一教授が受賞した論文「集落と居住の持続性に関する地域計画的研究—能登半島地震?被災集落を対象にして—」は、集落研究が建築学における計画分野の理論モデルであり、過疎地域の震災復興集落が縮退社会における集落の持続モデルであるという着眼点から、2007年能登半島地震の被災集落を対象に進めてきた近年の研究成果をまとめたものです。今回の受賞論文は、規範科学と実証科学の融合した設計科学としての集落研究のモデル性を理論的に考察したうえで、復興集落のフィールド研究を通じて、持続力と復元力をもった復興集落に内在するルーラル?サステイナビリティの論理を明らかにしています。
この論文は、過疎地の被災集落が復興し、持続的な地域社会を維持していく論理を究明するものであり、集落構造の構成原理、集落の持続力?復興力の解明をめざす原論的研究と、震災復興の実態を把握し復興計画に反映させることをめざす実用的研究を結びつけた点に研究の価値があることが高く評価され、今回の受賞にいたりました。