神戸大学工学研究科の槻橋修准教授らのグループが「2015年日本建築学会賞 (業績)」を受賞しました。
日本建築学会賞は、建築に関する学術?技術?芸術の進歩発達をはかるとともに、わが国の建築文化を高める目的で、建築に関する特に優秀な業績を表彰するものです。日本建築学会賞 (業績) は、近年中に完成した学術?技術?芸術などの進歩に寄与する優れた業績(論文?作品?技術部門以外)が対象となる名誉ある賞です。
「『失われた街』模型復元プロジェクト」は、2011年の東日本大震災発生以降、震災とそれに伴う大津波によって破壊された町並みを、1/500の縮尺の模型で復元し、そこで営まれていた人々の暮らしの記憶を保存、継承していく取り組みです。全国の建築学生のボランティアの協力により、模型を制作し、現地住民とのワークショップを通して、今は失われてしまった街や集落の被災前の豊かな日常の記憶を模型の上に留めてきました。その実績は、25大学600名以上の建築学生の協力により、約3年半で、岩手?宮城?福島の被災地476地域に及びます。そのうちの21地域については1週間の住民ワークショップを実施し、ふるさとの姿が変わり果て、かつての記憶を思い出せなくなっている現地の人々の癒しを提供するとともに、現地での復興の活力を養うことに貢献しました。
被災地の復興支援、被災者の鎮魂、復興への想いの共有を目的とし、被災者?学生?教員の協働作業を通じ、建築関係者がいかにこのような状況で貢献できるかを示したものであり、建築関係者の使命の一つを表現した点が高く評価され、今回の受賞に至りました。