2015年9月10日、九州大学で開催された日本分析化学会第64年会において、理学研究科化学専攻の大堺利行准教授が「2015年度日本分析化学会学会賞」を受賞しました。
本賞は、日本分析化学会(会員数6千人余)の正会員にして分析化学に関する貴重な研究をなし、その業績を同会論文誌及びその他の論文誌に発表した者の中から、特に優秀なる者に贈呈されるものです。
このたび、大堺准教授の研究業績「油水界面イオン移動の反応解析とイオンセンシングへの展開」に対して表彰があり、授賞式後には同演題による受賞講演が行われました。
油水界面は、溶媒抽出、液膜、イオンセンサーなどの分離?検出系でのイオン移動過程を理解するうえで有用です。また、細胞膜の最も単純なモデルとしても有用で、呼吸鎖電子伝達系や神経系におけるイオンや電子の移動過程の解明や、バイオセンサーへの応用が期待されています。大堺准教授は、油水界面を用いる電気化学的手法(イオン移動ボルタンメトリー)の開発において先導的役割を担い、これを用いてイオンの溶媒和エネルギーの新理論(非ボルン型理論)の構築、油水界面電子移動のメカニズムの解明、さらには尿中アルブミンおよびクレアチニン、血清中リチウムイオン(抗躁うつ病薬)などのバイオセンシングへの応用研究を行っています。これらの研究は極めて独創性に富み、基礎および応用の両面において分析化学の発展に大きく寄与するものとして評価されました。