工学研究科 水畑穣教授が、平成29年6月2日に東海大学交友会館で開催された日本セラミックス協会総会において、セラミックスの産業及び科学?技術の進歩発達に資し、学術研究上の業績が顕著な者に贈られる「第71回セラミックス協会賞?学術賞」を受賞しました。
受賞業績
水溶液反応による酸化物析出反応プロセスの解明と電気化学材料への展開
研究の概要
水畑教授は、金属フッ化物錯体の溶液内平衡反応を活用した酸化物薄膜の合成とその機構解明に関する研究に一貫して携わり、優れた業績を上げてきました。
本研究では、常温下での薄膜形成が、水溶液を反応媒体とした固液界面を反応場とする結晶成長であることに着目し、その形成機構を電気化学的手法や分光学的手法など多彩な分析技術を駆使して明らかにしています[1, 2]。また、固液界面上の溶液内構造の変化に基づく基板表面ポテンシャルの差異を利用し、液相析出法における界面上の反応平衡や細孔中の反応の特異性の解明を行ってきました[3]。特にメソ細孔内への酸化物析出と空間制御を基板とのフッ素錯体平衡反応により実現、新規コンポジット創製や電気化学材料への展開を図り、特筆すべき成果を挙げています[4-8]。
セラミックス合成反応と物理化学?分析化学との関連を重視し、他の学術分野における知見も加えての斬新な観点で新たなセラミックス合成に反映し、他に追随を見ない精緻な合成方法によって多くの機能材料の設計と具現化を果たしてきた業績が評価され、今回の受賞となりました。
[1] M. Mizuhata et al., J. Ceram. Soc. Jpn., 117, 335 (2009)
[2] H. Maki et al., J. Phys. Chem. C, 118, 11964-11974(2014)
[3] M. Mizuhata et al., Microelectro. Eng., 85, 355-364(2008)
[4] M. Mizuhata et al., Chem. Lett., 38, 974-975 (2009)
[5] A. B. Béléké, et al, J. Power Sources., 195, 7669-7676 (2010)
[6] T. Hasegawa et al., Chem. Lett., 41, 1262-1264 (2012)
[7] M. Mizuhata et al., J. Fluorine Chem., 174, 62-69 (2015)
[8] M. Mizuhata et al., Appl. Phys. A, 122, 103_1-12(2016)