国立大学法人神戸大学と株式会社シンク?アイホールディングス(以下、TQI社)は、共同事業として、大学の研究から事業創出を加速させるための「未来共創ビジネスプログラム」を開始します。

本プログラムでは、TQI社の事業分野であるロボティクス?FA、ヘルスケア?ライフサイエンス、半導体?エレクトロニクス、社会インフラの4分野を中心に、今後5年間で総額1億円の共同研究を支援します。

本プログラムは、研究費の提供とともに事業化を目指したハンズオン(研究伴走)支援を行います。支援は、TQI社と、神戸大学の100%子会社である株式会社神戸大学イノベーション(以下、KUI社)が行います。KUI社には、シーズ発掘や社会実装のプロ集団が在籍し、短期間での事業化の検証が期待できます。TQI社は、事業可能性という視点で研究サポートを行い、このプロセスを通じた事業拡大や新規事業の立ち上げにより、社会実装にコミットします。

なお、本プログラムの他にも事業化支援プログラムとして、資金提供を行うGAPファンド 等が存在しますが、本プログラムは資金提供のみならずハンズオン支援を行い、社会実装への早期コミットが可能な点で、国内初の独創的かつ意欲的で挑戦的なものになると確信しています。

また、本プログラムは、社会課題解決を見据え、中長期の資金提供とそれに伴う責任ある事業育成、社会実装という明確なゴールを設定した、大学を起点とする新たなオープンイノベーション手法であり、経済産業省の示す『産学連携3.0:産学融合』の実現を目指すものです。

(※)大学が、自律的かつ機動的に大学研究室へ比較的少額の開発資金 (試作開発?試作テスト資金など) を供与して大学の基礎研究と事業化の間に存在するGAP (空白?切れ目) を埋めることにより、大学先端技術の技術移転や大学発ベンチャー創出を促していく基金。

1.未来共創ビジネスプログラムの目的

神戸大学
  • 「知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点」を目指す
  • 大学の研究シーズから新産業を生み出し、地域社会の持続的発展に貢献する
  • 蓄積した知識?ノウハウをもとに、新しい産学連携?技術移転モデルを創造し、日本のイノベーション?エコシステムを進化?発展させる
シンク?アイホールディングス
  • 自社ネットワークにおけるイノベーション?エコシステム形成を促進する
  • 日本の匠?高度技術の事業承継を通じて、地域社会の持続的発展に貢献する
  • 事業承継企業に大学のユニークな研究シーズを融合し、新たな事業を生み出す

2.未来共創ビジネスプログラムの概要

研究テーマ神戸大学の研究シーズとTQI社の事業テーマのマッチングによりテーマを選定
フェーズ1:最大で2~300万円×20件程度
フェーズ2:最大で1000万円×5件程度
研究資金の総額1億円
実施期間2021年9月1日~2026年8月31日

3.未来共創ビジネスプログラムの支援対象と資金用途

研究テーマは、起業?事業化前の研究シーズとします。研究費の提供に加え、KUI社とTQI社によるハンズオン支援が特徴です。

研究形態は2段階に分かれています。フェーズ1は事業化の検証を、フェーズ2は事業化の実現を目的とします。神戸大学100%出資子会社のKUI社の支援により、事業化の検証や実現を早期(概ね1年)に実行可能です。事業会社であるTQI社も伴走に加わることから、社会実装からの逆算で課題を設定し、最短期間での事業化確率を高めます。市場調査やビジネスモデルキャンバスの策定、収益モデルの策定、ステークホルダー分析、資金調達支援等の包括的な支援を行います。

研究シーズの起業?事業化では、経営人材の不足が重要課題の一つですが、本プログラムでは、KUI社とTQI社がハンズオン支援し、起業?事業化に向けて経営人材の確保を行うことで、課題解決を進めます。

4.TQI社の概要

「日本の匠?高度技術を承継し、錬磨することにより国際社会および産業の共創に貢献する」というミッションを掲げ、国内に欠かせない産業分野(ライフサイエンス?ロボティクス?インフラ?AI/IoT等)を核として事業承継に関する課題解決や起業支援により高収益企業集団を創るべく、2020年5月に設立。同時点でグループ企業9社、売上総額70億円、従業員数350名からなる。