神戸大学大学院法学研究科の前田健教授を研究代表者とするグループによる「パンデミック時の医薬品開発の学際的研究:アンチコモンズの悲劇からの知財権の解放」が、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)の「国際共同研究事業 英国との国際共同研究プログラム」(JRP-LEAD with UKRI)に採択されました。
採択課題
パンデミック時の医薬品開発の学際的研究:アンチコモンズの悲劇からの知財権の解放
研究の背景
パンデミックのような緊急事態においては、医薬品の開発等に関して、平時には発生しないような多くの法的問題が発生する。医薬品の開発等にあたっては、特許発明などの他者の知的財産の利用が必要な場合があるが、権利者からの許諾等が得られないため、治療薬やワクチン等の迅速な開発が妨げられる場合がある。また、医薬品の品質、有効性及び安全性を確保し、これについての国の規制をクリアするまでには、数年単位の時間を要することも多い。
研究の概要(あるいは狙い?目的など)
本研究では、法制度がパンデミック時の医薬品開発の障害となる可能性があるという問題の背景には、いわゆるアンチコモンズの悲劇があることに着目する。アンチコモンズとは、一つの共有の資産について、複数の当事者が排他的権利を保有している場合に、全体としての価値が失われる場合があるという現象である。本研究では、医薬品開発等に関して、どのようにアンチコモンズ問題が生じるかの構造を明らかにするとともに、政策立案者にどのような解決の選択肢がありうるのかを明らかにすることを目的とする。本研究により、将来のパンデミック時の政府の取り得る対応策を提示することを目指す。