神大附属発!真?働き方改革 ー教師を支える6つの仕組みー
神戸大学附属小学校では、「教科担任制」「学年担任制」等の方策を組み合わせることで、教員の負担を軽減するとともに、経験年数の違いをフォローし、教育の質を高める実践を行っています。この実践取組が、独立行政法人教職員支援機構(NITS)の令和3年度表彰事業第5回NITS大賞におきまして、136点の応募の中から「準大賞」を獲得しました。(2月25日に同機構のHPに掲載)
- 活動名
- “神大附属発!真?働き方改革-教師を支える6つの仕組み-”
- 受賞校
- 神戸大学附属小学校
独立行政法人教職員支援機構HP
令和3年度表彰事業第5回NITS大賞
「子供一人一人が輝ける場となるように ~教師の働きがいを再構築する学校づくり~」
(動画による紹介)
ポイント
6つの仕組みで、「教員の負担軽減」と「質の高い教育」を実現した。
(1)教科担任制度 (2)学年担任制度 (3)校務分掌複数担当制度 (4)変形労働制度 (5)授業サポーター制度 (6)プロジェクト研究制度
教員の「働き方改革」は、教育界全体が抱える大きな課題であり、今後公立小学校等でも本実践が活用されることが期待される。
取組の背景
- 子供や保護者が多様化する一方、経験年数が少ない教員の割合が増え続け、従来の学級担任制度では1年間安定して教育することが困難となっている。
- 教員に時間的な余裕がない。その結果、教材研究をはじめとする研究の時間確保が困難であったり、年休取得率が低かったりする状況がある。
附属小学校の取組の内容
- (1)教科担任制度
- 各教員が担当する教科を限定し、1人の教員が複数のクラスの授業を実施する制度。準備する教科数が限定されることで、広く浅い教材研究から、狭く深い教材研究になる。全学年で実施。
- (2)学年担任制度
- 3名の教員で1つの学年を担任する制度。3名の教員が交代で朝の会や給食指導等に入る。保護者対応も、教員を固定せず流動的に、また場合によっては複数の教員がチームで対応する。
- (3)校務分掌複数担当制度
- 全ての校務分掌を2名以上の担当で実施する制度。正規採用教員と臨時講師など、経験年数のバランスを考えたペアで取り組めるようにする。
- (4)変形労働制度
- 通常の8時間以外に9時間、10時間等の多様な労働時間を設定する。毎週水曜日を9時間、金曜日を10時間勤務とし、その日に会議を入れることで無理のない時間設定で会議を行う。また行事の際にも適用し、これまで時間外で行っていた業務を正規の勤務時間内で収める。その分夏季休業中は勤務を要しない日とし、リフレッシュできるようにする。
- (5)授業サポーター制度
- 臨時講師が担当する授業に、正規採用教員をサポーターとして位置付け、学習計画立案から評価までを含めた助言をする制度。本校の臨時講師は基本的に全員新卒のため、授業が1人でも成立するように教員が育つまでは、基本的に同室指導をする。
- (6)プロジェクト研究制度
- 神戸大学の研究者と共同研究できる制度。校内学会を開催し、お互いの研究を交流したり、公立の教員に還元したりする。
今後の展開
現在公立小学校でも教員の人材確保が課題となっており、その対策として教員数の増加や教科担任制の導入が考えられていますが、単純に人数を増やすだけでは解決しないことも不安視されています。
附属小学校における「教科担任制」に「学年担任制」と「授業サポーター制」を組み合わせた取組は、その不安を軽減し得る試行モデルとして、来年度以降も効果を検証しながら継続していきたいと考えています。
(附属小学校)