神戸大学医学部附属病院は、去る4月18日から22日にかけて、病理診断科にカンボジアからの若き病理医6名の研修の受入れをいたしました。

カンボジアの医療状況は劣悪であり、特に病理医は1,500万人の人口に対し、8名のみと極めて厳しい状況にあります。教育環境は無に等しく、若き病理医の育成に苦しんでいます。カンボジアも生活習慣の変化でがん患者なども増えており、正確な医療を行うためにも新たな病理医の育成は急務です。

カンボジアの医療に関しては日本からの支援が行われていますが、神戸大学も大きな貢献をしています。今回は神戸東ロータリークラブ及び兵庫県内16のロータリークラブと、カンボジア?プノンペン?メトロロータリークラブをパートナーとし、神戸国際交流財団の協力のもと行った、「カンボジア病理医育成支援プロジェクト」が行われ、その一環として1週間の医学部附属病院病理診断科での研修が実現されました。研修では指導医が日ごとに交代にて各自の専門分野に応じた症例提示?指導?ディスカッションが行われました。医学部附属病院では新設の8Kモニタを使用した、最先端の病理組織像の提示がなされ、研修医からは感嘆の声があがっておりました。

今回の研修も楽な道のりではありませんでした。まず、4月14日から16日にかけて神戸大学大学院医学研究科 病理学講座 横崎宏教授が会長として主催した日本病理学会神戸総会に参加を目指しましたが、必威体育感染症のため来日後もホテルでの隔離期間を要しました。その間も勉強ができるよう顕微鏡を持ち込み、細胞診を学んだとのことです。その後もほとんど観光もすることなく、学会、当院での研修と密度の高い日程をこなし、無事に修了いたしました。

必威体育蔓延化で国際交流がほとんど停滞している状況ですが、待ったなしの環境であるカンボジアの状況を少しでも改善するため、今回の研修が実現した意義は大きなものと思います。神戸大学は引き続き国際貢献を果たしていきます。

(医学部総務課)