神戸大学名誉教授黒田慶子と農学研究科森林資源学研究室助教東若菜および修士2年谷内廉を中心に取り組んでいた森林資源の活用システム「MORI TAGシステム」が、2022年度Good Design賞を受賞しました。本システムは、放置され荒廃しつつある里山の樹木をカタログ化し、国産材の流通を活発化させて森林の持続性と資源循環を促すことを目的として開発したものです。今後は社会実装を進め、森林管理のツール化を目指します。

受賞内容詳細:広葉樹林の資産管理と木材流通 [MORI TAGシステム] | 受賞対象一覧 | Good Design Award

背景

国内には莫大な森林資源の蓄積がありますが、半世紀以上使わずに放置し輸入材に頼ってきました。国産材が流通しない理由としては、1) 森林所有者が資産価値を認識していない、2) 流通が旧式で、企業向けに供給できない、3) 林業関係者に知識が不足し、安価なパルプ?燃料にされる、などが挙げられます。放置森林では災害が起こりやすくなり、森林管理は緊急課題です。里山の樹木が妥当な価格で流通すると、森林の若返りとともにCO2吸収の向上も期待でき、SDGsの観点で森林資源を循環させられます。

成果

本システムの特徴?創意工夫は、森から消費者までの物の流れを作る仕組みにあります。「森のカタログ」で伐採前に購入企業を見つけるとともに、トレーサビリティデータを消費者に届けます。電子タグは木ネジ取り付けで作業性を良くし、記録アプリは電波環境の無い森林で使えるようにしました。さらに、伐採時にタグを切り株に残すので、森林管理の継続が可能です。全ての点で循環型社会への方向付けを意識しており、資源の利用と再生により将来の国土保全が進みます。利用対象は森林所有者、製材業、住宅?家具産業、木工作家、公園管理者、森林研究者などです。

この「MORI TAGシステム」の概要は以下の動画でも説明しています。

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