社会システムイノベーションセンター?経済学研究科の 衣笠 智子 教授は、衞藤彬史研究員(兵庫県立人と自然の博物館)、安田公治講師(青森公立大学)、豊澤圭助教(帝塚山大学?神戸大学経済学研究科研究員)とともに、国家戦略特別区域として指定されている養父市との地方創生に関する連携協力に取り組んでいます。
養父市は2014年に国家戦略特別区域の指定を受けて以来、これまで農業分野を中心とした規制緩和の取り組みにより、担い手不足や耕作放棄地への対応など一定の成果をあげてきました。衣笠らの研究チームは、これら特区の規制緩和の取り組みの効果、全国で唯一特例的に認められている一般企業による農地取得事業について全国展開した場合の効果、またこれらを受けた今後の養父市の農業発展について、定量的、定性的に検証、分析を行い、地方創生の実現に向けた研究を進めています。
指定を受けて8年が経過した2022年度に、これまでの検証?分析の結果をまとめて、養父市長(広瀬栄氏)に報告を行いました。
【報告内容は次のとおり】
- 一般企業の農地取得による影響について、マルチエージェントシミュレーション(MAS)を用いた中長期的なシナリオ分析による検証結果
- 韓国?アメリカ?マレーシア?イギリス等に関して、農業に参入した企業の農地取得が可能であるか、参入している事例はどのようなものがあるかを調査し、農業に参入した企業が成功している事例やその背後にある制度についての報告
- 養父市の様々な種類の農業者や農業委員会に聞き取り調査をし、特区事業者以外の農業の牽引役となる農業者像や、農業者に共通する問題点などについての考察結果
- 2021年度までの時系列データを用いて、特区開始前と開始後で、主要指標の傾向及び変化について統計的検定を行ったところ、特区開始後の効果は依然として見られること。
本研究チームの検証?分析結果は、国家戦略特別区域の効果を実証するものとして、養父市だけでなく政界でも反響を呼んでいます。2023年度以降も引き続き養父市との連携を推進し、研究者と地方自治体による共同研究を進めることで、さらなる成果が生まれることが期待されます。
関連リンク
(社会システムイノベーションセンター、経済学研究科)