会場に飾られた舞台をPRする旗

日本一の総合商社に発展した後、昭和初期に破綻した神戸発祥の鈴木商店をモデルにした演劇「彼の男十字路に身を置かんとす」の神戸公演が4月20日~23日まで、神戸市中央区の神戸ポートオアシスで開かれました。鈴木商店には旧神戸高等商業学校の卒業生らが数多く入社するなどゆかりがあることから、藤澤正人学長はじめ神戸大学関係者も舞台を鑑賞しました。

鈴木商店は明治初期に神戸で砂糖の輸入商として創業し、樟脳、製鉄、造船などに進出し、大正時代には三井物産を抜き日本最大の総合商社となりました。昭和初期の金融恐慌で破綻しましたが、双日や神戸製鋼所、帝人、ダイセル、太陽鉱工、鈴木薄荷など流れをくむ企業や事業は数多く、今も日本経済を支えています。鈴木商店には、神戸高等商業学校の初代校長水島銕也が、教え子で後に日商(現双日)を起こす高畑誠一を送りだして以降、約120人もの神戸高商出身者が就職し、「世界のスズキ」達成に貢献しました。

「彼の男十字路に身を置かんとす」は2018年に東京で初演され、2020年には再演が予定されていましたが、コロナ禍で中止となったため、5年ぶりの上演となり、神戸では初めて披露されました。

舞台は、番頭金子直吉を中心に支配人の西川文蔵、ロンドン支店長の高畑誠一らが、鉄や造船、人造絹糸などのものづくりにまい進する姿、日本一を達成するために社員にゲキを飛ばすエピソードや米騒動の焼き打ち事件のシーン、失敗を恐れず挑戦する社風などをエネルギシュッに描きました。神戸市の招待事業の一環で鑑賞した神戸大の教職員からは「鈴木商店は知らなかったが、役者さんたちの熱演に成長のエネルギーを実感した」「上司と部下に挟まれて苦悩する西川支配人に共感した」などと、感想を話していました。

また、関連事業として「神戸港と鈴木商店を語る会」が4月22日と23日に開催され、神戸大学未来世紀都市学研究アライアンスの小代薫特命講師が登壇し、鈴木商店が神戸の建築の多様性にも重要な役割を果たしたなどと指摘しました。

パネリスト5人が参加した「神戸港と鈴木商店を語る会」

(総務部広報課)