2023年5月24日 神戸大学?尼崎信用金庫共同研究成果発表 神戸大学経済経営研究所 地域共創研究推進センター開設記念 公開シンポジウム「地域の持続的発展と金融機関の役割 ―ESG地域金融の取り組み」が開催されました。
神戸大学経済経営研究所では、共同研究等を通じて、地方自治体、地域企業、地域金融機関、地域支援団体などとの連携を図るため、2023年4月、地域共創研究推進センターを設立しました。地域連携活動の拠点として地域の金融機関様や団体様との共同研究を強力に推進しております。
間接金融が大きな役割を果たしている日本では、地域金融機関には、地域の持続可能性の向上に資するESG地域金融の実践が期待されています。 当研究所と尼崎信用金庫は、2022年度より「ESG要素を考慮した事業性評価の深化を通じた地域における事業者支援体制構築の推進」に関する共同研究を実施してきました。 また、尼崎信用金庫は、2022年度の環境省ESG地域金融促進事業に採択されています。
そこで、本シンポジウムは、それらの取り組みの現段階での成果を報告し、取り組みを深化させることを目指し、荒木千秋(神戸大学経済経営研究所 非常勤講師)による総合司会のもと、講演とパネルディスカッションを行いました。
最初に作田誠司理事長(尼崎信用金庫)による挨拶がありました。続く第1部では3名の方による基調講演が行われました。先ずはじめに、竹ケ原啓介さん(株式会社日本政策投資銀行設備投資研究所 エグゼクティブフェロー兼副所長兼 金融経済研究センター長)が「ESG地域金融への期待」について、2番目に家森信善教授(神戸大学経済経営研究所 教授?同地域共創研究推進センター長)が「ESG地域金融と事業者支援」について、3番目に田中直也さん(尼崎信用金庫価値創造事業部 部長)が「ESG要素を考慮した事業性評価の取組み」について講演を行いました。
第2部のパネルディスカッションでは、家森信善教授の司会により、竹ケ原啓介さん、作田誠司さん、宮口美範さん(阪神北県民局長(前兵庫県産業労働部次長)?神戸大学 客員教授)、古川直行さん(兵庫県信用保証協会理事長)、今井亮介さん(環境省大臣官房環境経済課環境金融推進室長)がパネリストとして参加し、「地域の持続的発展のために地域金融は何ができるのか」をテーマに、ESGのうち、E(環境)の論点について、主に兵庫県の現状に焦点をあてながら、議論が行われました。
地域の持続的な成長を実現するためには、地域の中小企業のESG対応が不可欠です。しかし、それに対処するための人材、ノウハウや資金が不足している企業が少なくなく、地域金融機関や、信用保証協会、自治体や国などが連携して中小企業の取組の裾野を広げていくために支援していく必要があり、支援機関としてSDGS推進に向けた今後の展開や、中小企業に関連する最近の支援の状況が紹介されました。
最後に、北野重人経済経営研究所長から、御礼の挨拶がありました。
シンポジウムはハイブリッド形式で行われ、出光佐三六甲台講堂に直接来場いただいた150名、Zoomウェビナーで参加された235名、計385名もの企業?組織と個人の方に参加していただきました。
今回は、環境省のESG地域金融促進事業に応募を考えられている金融機関のみなさまも多数参加されており、大変参考になったと高い評価の声をいただきました。
本シンポジウムは、尼崎信用金庫様との共同研究の中間発表としての性格を持っており、今年度も共同研究を継続し、最終的な成果をまとめる計画となっております。
(経済経営研究所)