文部科学省は、日本の科学技術力の飛躍的向上と地域課題解決への貢献を目指す「地域中核?特色ある研究大学強化促進事業」に、神戸大学など12の国公私立大学を選定しました。発表を受けて12月25日、藤澤正人学長が会見し、事業の将来像などを語りました。本学が文科省に提案したのは、バイオものづくりの卓越した基礎研究と社会実装に関する構想で、世界的な共創研究拠点を形成しつつ次世代の人材育成や地域産業の発展にも寄与するものです。?
この事業は、地域の中核で特色ある研究に取り組む大学を支援し、大学の研究力や国際競争力を強化することを目指しています。本年度は69大学が応募し、提案内容の審査の結果、12大学が選ばれました。2024年度から5年間で、各校に最大約55億円が助成されます。
本学の採択内容は、バイオものづくりの基礎研究と社会実装を両輪とし、世界をリードするイノベーションを継続的に創出する取り組みです。バイオものづくりは、持続可能な社会の構築に不可欠とされ、エネルギー、医療?ヘルスケア、食料などさまざまな分野で世界的に技術開発が進んでいます。今後10年以内に製造業の世界生産の3分の1、約4,000兆円の規模に成長するともいわれています。
本学はこの研究領域を強みとしており、現在、世界的にもバイオものづくりの最先端の研究大学に成長しています。さらに神戸?ポートアイランド(神戸医療産業都市)に「バイオものづくり共創拠点」も完成する予定です。
採択事業は広島大学を連携大学とし、大阪大学、理化学研究所、イリノイ大学、テキサス大学、マンチェスター大学、ツールーズ大学、シンガポール国立大学の7大学?機関も参画します。藤澤学長は会見で、①世界に伍する「バイオものづくり共創研究拠点」の形成、②DX(デジタルトランスフォーメーション)?自動化研究環境の全学展開、③グローバル?イノベーション創出機能の強化、④地域産業のグローバル展開―の4つの中心的取り組みを説明しました。
本学はすでに、バイオものづくりにデジタル技術を融合した研究プラットフォーム(バイオファウンドリ)を構築しており、その強みをさらに発展させていきます。連携校である広島大学のバイオ生産技術や、参画大学?研究機関のそれぞれの強みを生かし、「エンジニアリング?バイオロジー」という異分野共創研究領域を確立していく計画です。
研究拠点は国内外のトップレベルの研究者や学生が切磋琢磨する環境とし、大学発スタートアップの支援、企業との共同研究も積極的に進めていきます。神戸医療産業都市と連携したバイオものづくりの拠点群の形成で、地域の雇用創出に寄与し、博士人材や若手研究者の交流促進、次世代の優秀なグローバル人材育成にも取り組みます。
藤澤学長は「社会実装につながるイノベーションを見据えた研究を展開していきたい。この事業を通し、5、6年後にはポートアイランドを拠点とするグローバル?バイオクラスターの形成、10年後には神戸大学の4キャンパス全体を網羅して世界に伍する『グローバル?イノベーション?キャンパス』へと変革することを目指す」と抱負を語りました。
(総務部広報課)