神戸大学医学部(学部長 村上卓道)では、兵庫県からの支援の下、医学部附属地域医療活性化センター(先端外科医療?内視鏡トレーニングセンター)において、国産初の手術支援ロボット「hinotori?」(以下、「hinotori」)を新たに設置する運びとなりました。
近年、一般消化器外科領域のみならず、肝胆膵外科、呼吸器外科、産科婦人科、泌尿器科、小児外科、耳鼻咽喉?頭頸部外科、心臓血管外科など幅広い外科系領域手術においては、従来の開腹手術による大きな切開創部による傷をなくし、術後疼痛の軽減や整容性が保たれ、拡大視野による微細な手術操作により出血量や術後合併症が少ない事から、腹腔鏡など内視鏡手術が普及してきました。先端外科医療?内視鏡トレーニングセンターにおいては、従来から、兵庫県内の若手外科系医師の教育、スキルアップのために、7診療科が年間約15回の内視鏡トレーニングセミナーを実施してきました。その結果、兵庫県内に多くの外科系医師が腹腔鏡手術をはじめとする内視鏡手術の技術習得、スキルアップなどの成果を上げ、兵庫県内の多くの病院において技術を持った医師の派遣ができるようになってきました。
また、実臨床においては、腹腔鏡手術からロボット手術が導入され、今後は、ほとんどの外科系手術がロボット手術に置き換わっていくことが予想されます。ロボット手術は、3D高解像画像により、術者の目の前に手術を行う臓器に直接触れるような近視眼的な感覚で見ることができ、自由に動く鉗子、手振れ補正機能により直感的な鉗子操作が可能となり、腹腔鏡下手術と比べて、より繊細で安定した手術操作が可能である一方、ロボット手術は新しい技術であり、若手医師が執刀するためには十分なトレーニングを受ける必要があります。しかし、ロボット手術の教育を行う施設は全国に3-5か所と限られています。
そこで、神戸市に本社を置く株式会社メディカロイドにより開発されたhinotoriを導入し、兵庫県内の若手外科系医師の教育、スキルアップのために、ロボットを用いた手術トレーニングセミナーを行うことができる体制を構築します。この度のhinotoriの導入により、同研修の中核施設としての役割を果たすとともに、県下の医療のさらなるレベルアップと、外科医療技術の向上ならびに県内の若手医師の研修および外科系医師の生涯教育の一層の充実を図ることが大いに期待されます。
問合せ先
医学部総務課人材育成支援事務室
地域医療活性化センター事務係(吉岡)
Tel:078-382-5641