地域中核?特色ある研究大学強化促進事業（J-PEAKS）「第１回神戸大学バイオものづくり国際シンポジウム『知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点』を目指して」（本学主催、広島大学共催）を令和7年１月31日、神戸大学統合研究拠点コンベンションホールで開催しました。

本学は文部科学省令和5年度J-PEAKS事業に採択されました。本事業は、バイオものづくりの卓越した基礎研究と社会実装の両輪で世界をリードするイノベーションを継続的に創出することをテーマに、広島大学、大阪大学、理化学研究所、マンチェスター大学、トゥールーズ大学など国内外の大学?研究機関とも連携して事業を進め、研究力をさらに強化すべく新しいイノベーション創出の仕組みを構築するものです。今回のシンポジウムは、本学の事業ビジョンを紹介しアピールすることを目的としたもので、大学、自治体、関連企業などから約130名が参加しました。

来賓として、文部科学省科学技術?学術政策局の髙谷浩樹審議官、日本学術振興会の小谷和浩理事、神戸市の今西正男副市長、広島大学の越智光夫学長、株式会社カネカの武岡慶樹常務執行役員、株式会社島津製作所の稲垣史則専務執行役員が出席しました。

藤澤正人学長が冒頭の挨拶で、「きょうのシンポジウムを通じて、本学が目指すバイオものづくり分野から広がる知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点について理解していただき、皆様とともに日本の研究力の飛躍的な向上と産業の発展に取り組みたい」と述べ、続けて、「バイオものづくりの卓越した基礎研究と社会実装の両輪で世界をリードするイノベーションを継続的に創出する地域中核のグローバル?イノベーション?キャンパス」と題して、本学の事業概要を紹介しました。

また、本学の蔭山広明教授が「神戸大学のイノベーション創出への挑戦」と題して、社会課題、ビジネス動向、技術シーズを俯瞰的に調査し、ビジネスモデルを見据えてコア研究を統合化?システム化し知財研究戦略を立案するイノベーションデザインを行う本学の組織「グローバル?イノベーション（GI）カタパルト」を紹介しました。

それから、本学と連携大学である広島大学から、本事業に係る研究内容の説明を行いました。本学バイオものづくり共創研究拠点長で先端バイオ工学研究センター長の蓮沼誠久教授が「未来を創る自律型実験システム　バイオ、ＡＩ、ロボティクスの融合が拓く新時代の研究フロンティア」をテーマに研究紹介を行い、その中で、ＡＩやロボティクスを活用し、遺伝子の設計から微生物の培養、構築、分析までを、高速で行うことができる最先端の自動化装置群（バイオファウンドリ）工程を説明しました。続けて、広島大学大学院統合生命科学研究科の中島田豊教授が、「発酵工学を基盤とした広島大学のバイオものづくりの今とこれから」と題して、酒どころから歴史をつなぐ発酵工学で現在進んでいる研究を説明しました。

その後、東京大学大学院理学系研究科の菅裕明教授が「基礎研究からイノベーションへ、夢なき者に成功なし」と題して基調講演をしました。自身が2007年に起業したバイオベンチャーについて実体験を紹介し、日本でスタートアップを立ち上げる際の問題点を提起しました。

シンポジウムの最後には、本学副学長?大学院科学技術イノベーション研究科の近藤昭彦教授がファシリテーターを務め、藤澤学長、菅教授、武岡常務執行役員、稲垣専務執行役員をパネリストとして、「Deep Techでイノベーションを加速！大学が未来を拓くために必要な要素とは？」と題したパネルディスカッションを行いました。大学側からは産学連携の現状、スタートアップを立ち上げる際に何が大学で不足しているのかが報告され、対して企業側からは共同研究に関する大学への期待が披露されるなど、双方の立場から忌憚のない議論が繰り広げられました。シンポジウム全体を通じて、バイオものづくりを取り巻く革新的な取組みについて議論を深めたことで、多くの参加者がこの分野での未来の展望を共有しました。

（研究推進部DBLR推進室、総務部広報課）