神戸大学大学院工学研究科の白瀬敬一教授らの研究グループは、金属部品の機械加工を3Dプリンタ感覚で行うことのできる工作機械の試作機を開発し、世界3大工作機械見本市のひとつ、「欧州工作機械見本市 (EMO MILANO 2015)」に出展しました。インプラントなどの歯科補綴物や人工骨など、テーラーメイド製品の迅速な加工が可能となり、製造に要する時間の短縮やコストの低減が期待されます。


神戸大学では内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) のうち、「革新的設計生産技術」分野で3つの研究テーマが採択され、2015年6月には「3Dスマートものづくり研究センター」を設置しました。「工作機械の知能化」を目指す本研究も、採択された研究テーマの1つでした。

現行の金属部品加工は、事前に用意された加工用プログラムで加工を指令する方式が一般的ですが、プログラムの作成に多大な労力を要するほか、加工プロセスの制御や急なトラブルに対処できないという潜在的な問題点を抱えていました。また、3Dプリンタでも金属造形が可能ですが、その場合、材料の金属粉末が高価で製造コストが高くなる、製品表面の性状が悪くなるというデメリットがあります。

今回、白瀬教授らが開発した試作機は、現行の「工作機械に機械加工を指示する方式」から世界でも例がない「工作機械に機械加工を任せる方式」へと転換したことが最大の特徴です。加工したい部品の3Dモデルと素材モデルを用意すれば、データベース化された加工情報や切削条件をもとに最適な工法を機械が判断し、機械加工を行うことが可能となり、製造に要する時間の短縮やコストの低減が期待されます。

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