大阪市港区の海遊館と神戸大学大学院農学研究科の楠比呂志准教授との共同研究により、2016年6月4日から6日にかけて誕生したミナミイワトビペンギンの雛3羽のうち1羽が、人工授精により誕生したことがDNA検査の結果わかりました。ミナミイワトビペンギンの人工授精の成功は、世界で初めてのことです。

人工授精により誕生したミナミイワトビペンギンの雛

(海遊館提供)


ミナミイワトビペンギンは、フォークランド諸島など南極周辺の島々に生息する体長約50センチメートルの種で、国際自然保護連合 (IUCN) が定めるレッドリストにおいて、絶滅危惧種に指定されています。

楠准教授と海遊館は、ミナミイワトビペンギンの繁殖生態の解明と人口繁殖技術の確立を目指し、2011年に共同研究を開始しました。2015年春にも受精卵が得られたものの、卵から雛が孵らず、DNA検査の結果も自然繁殖による受精を示していました。

そこで今回は、ミナミイワトビペンギンの飼育羽数が多く、自然繁殖の実績を持つ葛西臨海水族園 (東京都) に協力を依頼しました。4月末に葛西臨海水族園のオスから良好な精子を採取し、海遊館まで精子の性状を劣化させずに輸送。海遊館で飼育する3羽のメスに、血液検査により産卵日を推定したうえで、最適なタイミングで人工授精を実施しました。

人工授精を行った3羽のメスは、4月28日から5月4日にかけて5つの卵を産み、ペアの親鳥が約1ヵ月あたため、6月4日から6日にかけて3羽の雛が誕生しました。卵の殻の内側に付着した血液でDNA検査をおこなった結果、1羽が人工授精による雛の誕生であることがわかりました。

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