国立大学法人 神戸大学 (所在地:神戸市、学長:武田 廣 以下「神戸大学」) とシスメックス株式会社 (本社:神戸市、代表取締役会長兼社長 CEO:家次 恒 以下「シスメックス」) は、必威体育感染症 (以下、「COVID-19」) の新たな血液検査法として、必威体育 (以下、「SARS-CoV-2」) に対するT細胞免疫応答を検出可能とするELISPOT法に関する共同研究を実施しており、その臨床評価の概要と結果についてお知らせします。なお、本内容は今後学会での発表や論文投稿を予定しています。
SARS-CoV-2は強い感染力を有し、急激な重症化を引き起こすとともに、多くの無症候性キャリアが存在するといわれています。そのため、SARS-CoV-2への感染直後から、治療?回復期までをカバーする検査法に加え、ワクチンの効果や安全性などを評価する手段の研究開発が世界中で行われています。オックスフォード?イムノテック (Oxford Immunotec Ltd. 本社:英国?オックスフォード) が開発した研究用試薬キット「T-SPOT? Discovery SARS-CoV-2」 (以下、本キット) は、感染したSARS-CoV-2の特異抗原の刺激によってインターフェロン(IFN)-γを分泌するT細胞数を計測し、SARS-CoV-2への過去の暴露や潜在性感染の確認を可能にします。また、COVID-19に対する免疫モニタリングや免疫応答の強さに関する研究も可能になると考えられます (図1)。
このたび、神戸大学医学部附属病院バイオリソースセンター (所在地:神戸市、センター長:松岡 広) らの研究グループとシスメックスは、本キットを用いて日本人の非感染者10例、COVID-19回復者15例の血液におけるT細胞免疫応答を検証しました。その結果、COVID-19回復者は全症例でT細胞免疫応答が亢進していることが示された一方、非感染者では全症例で認められない結果が得られました。本結果は、日本人においても本キットを用いてSARS-CoV-2へのT細胞免疫応答が評価可能であり、遺伝子を測定するPCR検査やタンパク質を測定する抗原?抗体検査の補完として活用される可能性を示唆しています。(図2および図3)
なお、本キットは、英国政府設立の英国ワクチン特別委員会 (The Vaccine Taskforce) に選定されており※1、ワクチンによる免疫機能活性化の評価などへ活用されるとともに、今後の治療法開発における重要な知見を提供する可能性もあります。
両者は、分子及び細胞レベルの共同研究をさらに推進し、T細胞免疫の詳細を明らかにすることで、臨床用途に適応した検査法の迅速な確立により、COVID-19の診断?治療に貢献します。
なお、本キットは、日本において、シスメックスの子会社である株式会社理研ジェネシスが独占的に販売します※2。
株式会社理研ジェネシス
SARS-COV-2における免疫応答の流れと各物質を測定する検査法について
評価方法について
ELISPOT法を用いたT細胞免疫応答データ
T-SPOT? Discovery SARS-CoV-2の概要
販売名
T-SPOT? Discovery SARS-CoV-2
注記
本製品は研究用試薬です。診断用としては使用できません。シスメックスの子会社である株式会社理研ジェネシスが、本製品に関する日本における独占販売を実施します。