神戸大学大学院理学研究科の末次健司准教授と在野の写真家である五味孝一氏は、長野県において、ニホンリスが、ベニテングタケやテングタケといった有名な毒キノコを日常的に食べていることを明らかにしました。同じ個体のニホンリスが数日間にわたってテングタケ属の子実体を食べ続けていたことから、ニホンリスは「毒キノコ」を安全に摂取している可能性が高いことがわかりました。
毒キノコの毒は動物に食べられるのを防ぐために進化したと考えられており、今回の発見は興味深い現象といえます。一方で、もしキノコの子実体が食べられたとしても、胞子が生存可能な状態で排泄されるのであれば、動物の移動に伴い分布域を広げることができるのでメリットになりえます。
このことから、リスはテングタケを食べ物として利用できるような適応を遂げている一方で、テングタケ属のほうも、リスには胞子を運んでもらうという助け合いが起こっている可能性があります。今後、リスが胞子の運び手として活躍しているかを検証するため、リスの糞の中から生存可能な胞子が見つかるか調べたいと考えています。
本研究成果は、12月1日付で国際誌「Frontiers in Ecology and the Environment」に掲載されました。
論文情報
タイトル
DOI
10.1002/fee.2443
著者
Kenji Suetsugu,Koichi Gomi
掲載誌
Frontiers in Ecology and the Environment