*この研究成果はWEB公開のみでプレスリリースは行っておりません

概要

日本山村硝子株式会社(本社:兵庫県尼崎市、代表取締役社長執行役員:山村 幸治)と国立大学法人神戸大学(所在地:兵庫県神戸市、学長:藤澤 正人)は共同で頭頸部がん放射線治療に用いる患者固定具「CustomFiX-3D」1)を開発し医療機器製造販売届出を完了させたため、2025年3月から神戸大学医学部附属病院で使用を開始いたします。

 

本製品は日本山村硝子株式会社研究開発センターと神戸大学医学部附属病院放射線腫瘍科/宮脇大輔特命准教授、椋本成俊特命助教のチーム2)との共同研究により、兵庫県最先端技術研究事業(COEプログラム、現?成長産業育成のための研究開発支援事業)などの補助事業3)を利用し開発いたしました。

開発製品:頭頸部がん放射線治療用患者固定具「CustomFiX-3D」

このたび開発いたしました「CustomFiX-3D」は病院で取得されたCTなどの患者形状を含むデータを用いて各患者の体形をデータ上で再現し、そのデータにジャストフィットする固定具を外部の製造工場で作製するという点で画期的です。今までこのような仕組みを用いた放射線治療用患者固定具はなく、日本及び諸国での特許取得を行っています。

開発の背景:がんと強度変調放射線治療

昨今日本では高齢化が進行し国内における死亡率はがんが1位となっております。がんの治療は「手術」、「抗がん剤」、「放射線」が3本柱と言われていますが、近年とくに低侵襲治療(患者の身体への負担が少ない治療)である放射線治療の重要性は増しています。

「CustomFiX-3D」はがん放射線治療のなかでも特に頭頸部がんの強度変調放射線治療での使用を想定しています。この治療は放射線強度を適切に変調することにより、がんの周囲に存在する正常臓器に非常に低侵襲な治療を提供する技術です。この治療では日々の患者の治療位置精度が重要であり、その再現性を担保するために患者固定具を使用します。

課題:従来の患者固定具の問題点

従来の固定具は吸引式バッグによる患者背面の型どり、および可塑性樹脂でできた材料を熱して軟化させ、患者自身を型にして作製するという方法が主流でした。そのため作製方法に起因する、患者へ与える苦痛や性能面での問題、現場の医療者への固定具作製に関わる時間ロス、などの多くの問題を抱えていました。

「CustomFiX-3D」は病院外で製造業者が患者自身と関わらずに固定具を作製することでこれらの課題を解決しています。

今後も日本山村硝子株式会社と国立大学法人神戸大学では「CustomFiX-3D」開発に留まらず、本製品技術を応用したがん放射線治療分野での製品開発を継続し、この分野での患者及び現場の医療者に資する製品開発を継続していきます。

その他

1)製品情報
  • 一般的名称:頭頸部画像診断?放射線治療用患者体位固定具
  • 品目番号:27B1X00110000035
  • 製造販売業者:アイテム株式会社
2)共同開発者所属
  • 神戸大学医学部附属病院放射線腫瘍科(診療科長:佐々木良平 教授)
3)助成
  • 兵庫県最先端技術研究事業:令和元年度/可能性調査?研究
  • 兵庫県最先端技術研究事業:令和2年度/応用ステージ研究

研究者

SDGs

  • SDGs3