本刊行物は、イラン音楽の特徴のひとつとされる即興演奏を対象に「音楽家は一体何をどのように演奏しているのか?伝統音楽の習得プロセスにおいて、そもそも学習者は一体どのような規範を体得し、即興演奏を可能なものとしているのか?」という問題意識を発端として、筆者自身の長年のフィールドワークに基づき書かれたものである。
絢爛かつ細密な旋律と即興演奏を醍醐味とするイラン音楽。その魅力の核心を、現地で学んだ気鋭の研究者兼演奏家がはじめて解き明かす。民族音楽研究の枠をこえて、近代西洋的な「自由」「個性」や従来の「即興」概念を書きかえる、画期的成果。
人間発達環境学研究科 准教授 谷正人