本書は、多くの福祉関係者や一般読者から好評をいただいた「高齢者の発達を支援する環境づくり」の改訂版である。初版は、老人介護施設がその地域と一体となって、利用者本位?住民主体の介護サービスを創出し、高齢者の主体的発達を支援していく環境づくりの指針を得ることを目的として、1)社会システム論、2)医療システム論、3)生活環境論、4)自立支援福祉サービスの4つの側面から総合的にアプローチし、個人の尊厳にもとづくケアの実現に向けてのケアサービスのあり方をそれぞれ提案した。
この改訂版では、読者から反響の大きかった高齢者の発達という我々独自の考え方をさらに詳しく解説するとともに、高齢者を「ケアの対象」ではなく「生きる主体」として捉え、だからこそケアはdo for(?に与える)ではなく、do with(?とともに)であるとのメッセージをそのまま本のタイトルとした。また、上記の4つのアプローチに、骨の強さと力、転倒の発生要因とその予防、温度環境という身体機能システムからのアプローチを新たに加え、5つのアプローチに再構成した。
本書には、日本学術振興会の平成20年度科学研究費補助金による基盤研究 (B)「高齢者の主体的で生き生きとした発達を支援する環境づくりへの発達環境学的接近」(研究代表者 城仁士 課題番号:20300235) の助成を受けて実施された研究会での講演内容が一部収録されている。
人間発達環境学研究科?教授 城仁士