大量の言語データベースから言語の隠れた特性を明らかにするコーパス言語学 (corpus linguistics) の進展に伴い、最近の言語研究では、語を個別的に扱うのではなく、他の語と結合した連語の単位で見ることの重要性が広く指摘されています。
本書は、慣用的な語構成体である慣用連語 (phraseology) やコロケーション (collocation) に注目し、その言語的な生成メカニズムや各種の機能について分析したA.P. Cowie (Ed.) Phraseology: Theory, Analysis, and Applications (1998, OUP) の邦訳版です。全体は10章で構成されており、各章の学問的バックグラウンドは、コーパス言語学、言語教育、言語工学、言語文化、辞書編纂など、非常に広範になっています。慣用連語を緩やかな接点として、言語学の様々な理論やアプローチが融合していることも本書の魅力の1つと言えるでしょう。
言語学や言語教育学に関心を持つ幅広い研究者?大学院生の皆さんにお読みいただければと思います。
国際コミュニケーションセンター/大学院国際文化学研究科准教授?石川慎一郎