表題の「電子スピンサイエンス&スピンテクノロジー」は、序文にもあるように、「電子スピン」をキーワードに、従来の電子スピン共鳴 (ESR) などがカバーする研究領域や課題、技術?方法論、考え方などに限定しないで、広く新しいパラダイムや 研究の座標軸?考え方を開拓し、体系化することを目標にしています。そこで、「電子スピン」をキーワードとする科学?技術の分野 (物理、化学、生物、医学、工学他) を横断する学会として2002年に誕生した「電子スピンサイエンス学会」監修で2003年に、この分野の入門書として「電子スピンサイエンス&スピンテクノロジー入門」が発行されましたが、本書はその改訂版です。このような本書の性格から、執筆者は物理から医学におよぶ広い分野の専門家からなり、神戸大学の太田は、第5章の「多周波ESR」と「強磁場ESR」を担当しています。読者層として、専門分野外の方、あるいはこの分野の研究などに関わり始めた学生や研究者を想定しています。現電子スピンサイエンス学会会長としては、1人でも多くの新しい研究者が、本書によりこの電子スピンサイエンス&スピンテクノロジー分野に参入するきっかけになればと願っています。
自然科学系先端融合研究環分子フォトサイエンス研究センター教授?