本書は、2007年3月に刊行された『開発と教育協力の社会学』の改訂版です。本学国際協力研究科の教員、院生、関係者を中心に執筆されたものであり、国際教育協力、国際教育開発の入門書です。これらの領域は、従来の比較教育学とは異なり、先進国の教育ではなく、途上国の教育に焦点を当て、経済学、法学、政治学など社会諸科学との密接な連携のもとに、いかなる教育協力、教育支援が日本に、われわれに可能であるのかを追究する領域であると言えます。
もちろん、途上国の教育だけではなく、日本国内の移民、難民など、支援、援助を必要とする子どもたちも重要な考察の対象であり、本書でも取り上げております。
本書は大きく二部からなり、第一部はこの領域の基底的研究として重要な国際理解教育や開発教育、日本の留学生受け入れ政策、東アジアの高等教育政策などの理論的な研究を扱っています。第二部は移民、難民の子弟に対する教育のケース?スタディ、さらにはもっとマクロな他の社会諸科学、特に経済学と深く関連する教育開発と教育協力のケース?スタディ、グァテマラの教育改革などを取り上げました。この領域に関心を持つ方々に広く読んでいただければ幸いです。
大学教育推進機構/大学院国際協力研究科教授?山内乾史