もし、超対称性が我々の自然を支配する法則の中で実現されていることが確かめられたなら、それはニュートンやアインシュタインが起こしたものに匹敵する、いや、それ以上の物理革命が起きたことを意味するかもしれない。なぜなら、超対称性理論は重力まで含めると、理論の整合性から、超弦理論 (superstring theory) にまで拡張される必要があると考えられているからである。そのとき、点粒子であると思っていた“素粒子”は、実はひも (string) でできていたことになる。ひもの長さがあまりにも短いので、我々はそれを“点”粒子だと思い込んでいるにすぎない。さらに超弦理論はTheory Of Everything (TOE) と呼ばれているように、万物の法則を記述する理論の候補と考えられている。つまり、我々は究極理論を手に入れたことになるのかもしれないのだ。
本書は、超対称量子力学のテキストとして、量子力学の知識のみを前提に超対称性のエッセンスを解説している。超対称性理論に興味のある人だけでなく、量子力学や対称性の原理をより深く解したい人にも有用な一冊となっており、コメントや演習問題が随所に配され、理解の深度を確認できる構成になっている。
理学研究科?助教 坂本眞人