近年、日本の周辺でも国際紛争?国際問題が増えてきました(竹島、尖閣、北方領土、捕鯨、慰安婦、戦時徴用など)。こうした国際紛争を(武力ではなく)平和的に解決するための手続が国際裁判です。国連の司法機関として、国際司法裁判所が利用されています。では、国際裁判で判決が出た場合、それはどこまで法的な意味があるのでしょうか。判決が「間違っている」と考える敗訴国はどのように対応すればよいのでしょうか。本書では、国際裁判の判決が下された場合の法的問題を検討しています。当然に判決には法的拘束力があり、遵守義務が発生します。さらに、一審終結で上訴がありません。他方で、敗訴国は判決解釈や判決再審を利用したり、判決の無効を主張したりします。本書では、こうした問題を広く扱うことにより、国際裁判判決の特徴として「終結性」と「無謬性」があることを明らかにしています。
法学研究科?准教授 玉田大