キリスト教民主主義政党は、多くの大陸ヨーロッパ諸国で有力な政党です。オランダのキリスト教民主アピール、スイスのキリスト教民主党、オーストリア国民党、イタリアのキリスト教中道民主連合など、名称は様々ですが、そのどれもがキリスト教民主主義を掲げています。
なかでも特に強力なのが、ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)です。キリスト教民主同盟は、ドイツ連邦共和国が建国されて以来、総計で約44年間、政権の座についてきました。これは、戦後のおよそ3分の2の期間、与党だったことを意味します。現在(2013年4月)の首相であるメルケルも、キリスト教民主同盟の政治家です。
この本では、キリスト教民主同盟の発展と変容を論じています。キリスト教民主同盟がどのような政策を掲げ、どのように党内の意見対立を調整し、どのような社会層や団体から支持を受けてきたのかについて、分析しています。分析にあたっては、比較政党研究で案出された枠組や概念を用いています。
ドイツだけでなく、大陸ヨーロッパ諸国の政治に興味のある方、比較政治学や比較福祉国家論に関心を持っている方にも、読んでいただけたらと思っています。
国際文化学研究科准教授?近藤正基