ナノ構造では、電子の波動性だけでなく個々の原子の振る舞いが特性に現われてきます。その一方で、現在の高度情報処理システムを支える技術の大部分は、従来の古典的な電子の振る舞いで成り立っています。本書は、ナノ構造エレクトロニクスの入門書として、古典力学と量子力学の基礎からナノMOSトランジスタの最近の研究動向まで系統的に分かりやすく記述しています。前半は半導体デバイスの基礎知識をしっかり習得できる内容にしており、後半は最先端の集積化デバイスの物理を統一的に理解できるように、応用例を幅広く紹介しながら解説しています。また、章末の演習問題(解答付き)を通して理解を深められるように工夫しています。
本書は、ナノエレクトロニクスを目指す学生と若手研究者に向けて分かりやすく説明した一冊で、これから当該分野を学び始める学生のみならず、これまでの学修の理解を再確認したいと考えている研究者にも最適な教科書です。
工学研究科?准教授 土屋英昭