有期労働契約は2012年に労働契約法の改正が行われ、判例法理であった雇止め制限法理の成文化、有期労働契約を更新し通算5年を経過した場合の無期転換ルールの導入、処遇の格差について不合理な労働条件の禁止という規制が設けられました。
しかしこの改正には、法律面での議論や労働市場等からの批判が強く、自民党政権になって見直しの議論が進められています。
本書は、このような政策議論をしていくうえでの基礎理論的基盤となる書です。改正の経緯と内容、これまでの議論状況を整理して法理論的位置づけを確認し、次いで比較法的検討を行っています。また、経済学的視点から有期労働契約を理論と実証の両面から検討しています。以上をふまえて、今後の有期労働契約規制のあるべき政策について考察し、具体的な提言をする書です。
法学研究科?教授 大内伸哉