近年のゲノム科学の進展によって明らかとなった「摩訶不思議な生物達」の姿を紹介し、生命とは何かという根源的な問いについて考察。
「生命」とは何か? 「生物」と「非生物」の違いとは何なのか? このような問いは生物学者のみならず、多くの人々の関心を惹きつけてきました。本書では、近年のゲノム科学の進展によって明らかとなった「摩訶不思議な生物達」の姿を紹介するとともに、それらの存在が投げかける「生命とは何か」という根源的な問いについて、丹念に考察しています。
本書では「生命現象」の持つ根源的な性質を「自己情報の保存とその変革」という二つの要素と捉えています。この「保存」と「変革」という二つのベクトルは、政治の世界の「保守」と「革新」のように反対方向を向いており、この矛盾する二つの力が「生命」の中でどのように統合され、生命進化に貢献してきたのかを、多くの事例とともに解説しています。
本書で述べられた生物達の姿や物の考え方を通して、より多くの若い人たちが「生命」について興味を持ち、考えを深めてくれることを期待しています。
農学研究科?教授 中屋敷均