パワーエンジニアリングの基礎を、初学者にとって必須な工業熱力学を中心に丁寧に解説したマリンエンジニア必読のバイブル。
日本は驚くほどエネルギー資源のない国ですが、世界中のエネルギー資源国から輸入したエネルギーを使って国民が努力を重ねた結果、日本は目覚しく発展して世界有数の経済大国になりました。この事実はほとんどの日本人は理解しています。しかし、その理解は実感の伴わない理解ではなかったでしょうか。2011年3月11日のあの大変不幸な東日本大震災は、日本国民に改めて日本のエネルギーに関する問題点を突きつけました。
日本の電力の約30%を受けもっていた原子力発電所の原子炉は、震災後、一部廃止され現在すべて停止した状況にあります。そのため、化石燃料を必要とする火力発電所稼動のために多額の国費が国外に流出しています。原子力規制委員会は2014年7月16日に九州電力川内原発に対して、安全対策について新規制基準に適合しているとして審査書案を了承しましたが、まだ再稼動の実現までいくつかのハードルが待ち構えております。
化石燃料に依存しないパワープラントは原子力以外にも選択肢はいくつもあります。出力の面では原子力にはるかに劣っていても、その他の面では有利な点が多い太陽光、風力、水力、地熱などを発電のためのエネルギー源とすることができます。日本はこれらの再生可能エネルギーをあまりにも過小評価あるいは軽視しすぎていたのではないでしょうか。
本書は、パワーエンジニアリングに関して基礎編と応用編の2段階構成で体系的に学べるように考慮しており、各種単位系、工業熱力学、エネルギー資源およびパワープラントの内容を平易に説明しています。本書の目次構成は次のようになっております。また、演習問題と詳解付きです。
名誉教授?元海事科学研究科教授 杉田英昭