東西統一から20年の間に、ドイツの政治はどのように変容したのでしょうか。本書では、政治力学(第1部)と政策(第2部)の両面から検討しています。
第1部では、まず、キリスト教民主?社会同盟から自由民主党まで、ドイツの主要政党が論じられます(第1~5章)。政党ばかりでなく、強力な団体が活発に活動していることや、国際関係のなかでドイツ政治が動いていることを考慮して、労使関係(第6章)とEUとドイツの関係(第7章)に関する章を設けています。第2部の第8、9章では、外交政策と福祉政策という、統一以前から主要争点となっている政策が論じられます。加えて、第10~12章では、近年、国内外で注目を集め、中心的な争点となりつつある政策群(家族政策、脱原子力政策、移民政策)が取りあげられます。そして、序章では、政治アクターをとりまく環境や政策が展開してきた背景(歴史的経緯や政治制度)について解説しています。
序章を除く各章の冒頭に「この章で学ぶこと」を載せており、わかりやすい文体で書かれているので、初学者でも無理なく読み進めることができると思います。学部生?大学院生のみなさんに読んでいただけたらと思います。
国際文化学研究科?准教授 近藤正基