ガーナ、ケニア、マラウイ、ウガンダの4ヶ国における事例研究に基づき、初等教育拡大や、初等教育無償化を促進する政策、実施における課題について分析。
1950年代初頭以降、開発途上国における初等教育普遍化(Universal Primary Education: UPE)の達成は大きな注目を集めてきた。しかしながら、教育普遍化の概念はあまり明確に定義されておらず、様々な人によって多くの異なった意味で用いられている。本書は、ガーナ、ケニア、マラウイ、ウガンダの4ヶ国からそれぞれ選定した2つの県(District)における事例研究に基づき、初等教育拡大や、初等教育無償化を促進する政策、実施における課題について分析した。そして、対等なパートナーシップとネットワークを構築したアフリカと日本の研究者のグループによって遂行された5年間の研究活動の成果が含まれている。前半部は各対象国の事例におけるUPE政策に関連した行財政と人々の認識の問題について議論し、後半部は教育の質とUPE政策に焦点をあてている。上記の研究結果、得られた様々な示唆と開発途上国における今後の教育政策に向けた含意についても述べている。
本出版は、米国ピッツバーグ大学比較国際教育研究シリーズ(Pittsburgh Studies in Comparative and International Education Series)の第4巻として、査読を経て出版した。また、本研究は文部科学省「国際協力イニシアティブ」教育協力拠点形成事業の助成金をいただき事例国で調査研究を行った。出版に際しては、神戸大学六甲台後援会から出版助成金をいただいた。
国際協力研究科?教授 小川啓一