ウイルスというと、インフルエンザウイルスやエボラウイルス等、人の病原体のイメージが強いですが、ウイルスの中には宿主と共生しているものも存在します。実際、私たちの遺伝子の中にはウイルスやその関連因子に由来する配列が多数存在しており、それらを利用して、私たちはヒトへと進化してきたのです。
今回、上梓した拙著『ウイルスは生きている』では、そういった災厄を招くばかりではない「役に立つ」ウイルス達や、近年明らかになった驚くようなウイルス達の様々な姿を紹介しています。そんなウイルス達は、生命にとって一体、どのような存在なのか? それを考えて行くことで、古くからある「ウイルスは生物か、無生物か」という命題にもアプローチできたらと思っています。
本書は、生物系の学生向けに書かれたものですが、読み物としての要素が強く、文系の学生さんにも楽しんで頂けるのではないかと思います。
農学研究科?教授 中屋敷 均