本書は神戸大学の総合教養科目「学校教育と社会」および非常勤講師として勤務している大学で担当している「教育社会学」の指定教科書である。
神戸大学では平成28年度から、かつての教養原論を基礎教養科目と総合教養科目に分け、さらに高度教養科目というカテゴリーを新たに設けた。平成28年度以降の神戸大学の科目区分においては、「学校教育と社会」は総合教養科目に該当する。総合教養科目とは、「多文化に対する理解を深め、多分野にまたがるグローバル?イシューを考え、対話型の講義を取り入れるなどの工夫により、学生の複眼的なものの見方、課題発見力を養成することを目的とする(神戸大学HPより)」科目群である。
「学校教育と社会」は、平成27年度まで半期15回で行われていた同授業をクォーター制に基づき8回分に再編成した授業であり、その前半部分に当たる。授業では、教育学ではなく教育社会学の視点から「学校教育と社会」との関わりについて分析し、一般論を述べると同時に、日本および英米を中心とした先進諸国の事例を織り交ぜて行う。
本書は2015年12月に刊行された単著の第二版である。今回の改訂では、誤脱字の修正とともに、データの更新および、新たな課題と文献の加筆をおこなった。全面改訂というほどではなく、マイナーチェンジにとどまるが、多少の成長は見られるのではないかと、淡い期待を抱いている。
大学教育推進機構/大学院国際協力研究科?教授 山内乾史