本書は、地方創生から国際地域統合まで、地域?距離の概念に係る様々な経済現象に関連して注目される空間経済学を、東日本大震災からの復興という喫緊の課題の分析に応用する初めての試みです。
少子高齢化の進む中で個々の被災地が創造的に復興し、国全体が均衡的にさらに発展していくために、日本のすべての地域におけるイノベーションの活性化が鍵となります。この観点からも、イノベーション?モデルを中心とする空間経済学は、適切な分析の枠組みであるとともに、有効な政策提言を提示できます。
本書は、空間経済学に基づいて三陸地域沿海部に焦点を当てて分析を行い、自然資源の重要性とともに創造性を必要とすること、人口移動を考慮したときに復興の障害となる問題、地域コミュニティの再生や安全で楽しいまちづくりを進めるための復興政策の課題について考察します。
経済経営研究所 教授 浜口 伸明