呪術を執り行う人「呪者」に焦点を当て、その人となり、個人的技芸などを通して、「呪術とはなにか」という根源的な問いに迫る。
~呪術とは何か:呪者に焦点を当てた考察から呪術に迫る~
本書は、個々の呪術の営みの中心にあってそれを執り行なう人、いわゆる呪者の個人的技芸からどれだけ呪術そのものを記述できるかという試みを通して、「呪術とはなにか」という根源的な問いに迫る。
第Ⅰ部は「呪者に会う」と題し、各執筆者がフィールドで出会った呪者(あるいは文献上で出会った呪者)を中心にその人となりを記述する。第Ⅱ部「呪術にせまる」は、呪者のもつ〈わざ〉の側面に重点をおき、実際に実践される呪術の具体像にせまる。第Ⅲ部「呪者と呪術のあいだで」は、人と〈わざ〉の両者がどのくらい可分/不可分なものであるかという観点から、これまでの議論を綜合し、さらに現実/虚構、ホンモノ/ニセモノ、利己/利他、さらには科学/宗教/呪術といったさまざまな狭間に着目した考察を加える。最後に本書のタイトル「呪者の肖像」の発案者である関一敏が、終章「呪者の肖像のほうへ」で、この主題の研究の軌跡をまとめる。
臨川書店 書籍紹介より