本書は、北極法秩序の枠組みや内容の展開における非北極圏アクターの役割について批判的に検討したものです。アジア諸国、ヨーロッパ諸国、先住民、NGOなどの視点から、特に2018年5月に発効した北極科学協力協定や、2018年10月に署名された中央北極海における画期的な漁業協定などを題材に考察しています。加えて、我が国産業界にも関心が高い北極航行レジームおよびガバナンスについても、分析がなされています。
本書は、国際法および北極ガバナンス分野の国内外の専門家による力作揃いで、研究者と実務家の両方の視点を含み、国際法学、国際関係論、資源管理論などの学際的?文理連携的な研究成果でもあります。本書には、井出敬二?外務省前北極担当大使による我が国の北極政策の分析、礪波亜希?筑波大学准教授による北極ガバナンスへのアジア諸国の関与に関する分析、森下丈二?東京海洋大学教授による北極海漁業協定の分析、柴田教授による北極科学協力協定の分析などが含まれています。是非、ご一読下さい。
国際協力研究科