多くの創業希望者が資金調達に頭を悩ませてきました。そこで、2018年4月の信用保証制度改革—私は中小企業庁の審議会のメンバーとして関与しました—では、今まで以上に信用保証を通じた創業支援を強化することになりました。本書は、愛知県信用保証協会と連携して2017年に実施した、創業期の企業に対するアンケート調査(送付先3988、回収数967)をベースにして、創業者の準備状況や金融環境、信用保証協会をはじめとした支援機関への満足度、さらには、融資を受けている民間金融機関との関係構築の状況などを分析し、信用保証利用企業に対する民間金融機関からの支援が十分ではないことなど、さまざまな課題を明らかにしています。
研究者だけではなく、様々な経験を持つ論者が執筆者に加わって、新しい信用保証制度のもとで期待されている信用保証協会の役割や、信用保証協会と民間金融機関の連携のあり方について提言しています。本書が、信用保証制度改革の意図を実現して、創業を盛んにすることを通じて、地域経済の活性化に役立つことを期待しています。
本書の出版を記念して開催したシンポジウム「創業支援の“これから”を考える—信用保証制度改革と創業支援—」(2019年8月21日) には、金融機関や関係機関のかたなど232名に参加いただき、さらに全国の信用保証協会に同時配信しました。本書およびシンポジウムについては、『金融経済新聞』で「保証協会と金融機関の羅針盤」として紹介されました。
経済経営研究所 教授 家森信善