日本の経営学の出発点は神戸大学にあった。神戸大学経営学部は、全国に先駆けて作られた日本初の経営学部である。
平井泰太郎が、神戸大学の前身である神戸商業大学において日本初となる「經營學」の授業を開講して約100年。昨今では、経営学部が創設された当時の状況や今日の隆盛に至る発展過程を知る人々も少なくなった。この歴史を何としても後世に伝承し、未来へと紡いでいきたい—こうした強い思いのもと企画されたのが本書『経営学の開拓者たち』である。
神戸大学経営学部は、これまでの歴史と伝統を踏まえつつ、経営学の各領域における根本問題を探究するとともに、常に時代の要請を先取りし、新しい諸課題にも挑戦を続けてきた。読者各位には、本書を通じ、この神戸の地で経営学を切り拓いてきた先人たちの奮闘努力を、それぞれの時代の文脈からお読み取りいただければ幸いである。
経営学研究科 教授 上林 憲雄