なぜ聖母はこれほど愛されるのか。キリスト教の祈りの対象にして、西洋美術史を牽引した聖母像。その起源や隆盛、衰退から変容までを追いかける画期的な一冊。
昨年から一年あまり、授業も会議もオンラインとなって学校も美術館も閉鎖され、海外にも東京にも調査に行けず、飲みに出歩くこともできず、家にこもる日々が続いた。この稀有な機会を利用して、膨大な資料を集めて読み込み、せっせと書いたのが本書である。そのため、分量は予定の倍に膨れ上がり、新書には珍しく474頁のボリュームになってしまった。その意味で本書はまさにコロナ禍の産物である。
必威体育研究科?教授 宮下規久朗