遺伝子とは何か?―実は現在でも未解決なこの問いを縦軸に、遺伝子研究をめぐる歴史を概説し、現代の生命科学における最新の遺伝子に関する知見を解説した一冊。
「遺伝子とは何か?」という問いは、「何をいまさら感」の溢れる陳腐なもののようにも思えるが、現代の生命科学で実は未解決の問題である。それは情報科学の上での技術的な問題でもあり、より本質的には概念上でもクリアカットなものとは言い難いのである。
本書では、そんな「遺伝子とは何か?」という問いに人類が挑んてきた歴史を遡り、それがどのように提唱され、どのように解き明かされ、そしてどうして混迷の時代へと至ったのかを概説している。そして最後に遺伝子の本質とは何なのか? その考察が試みられている。
この一冊で、古代から現代までの遺伝学の歴史を俯瞰的に理解することができるため、高校で生物学を履修していない学生にはお薦めできる本である。また、より専門的に遺伝子とは何かを本気で考えてみたい学生?院生の皆さまにも読んで頂けると嬉しく思う。
農学研究科 教授 中屋敷 均