“ねじの三大難問”である目標軸力での締結、ゆるみ、疲労破壊。そのメカニズムと対応策を、締結部の設計と施工、安全管理に携わる技術者向けに詳細解説。
ボルト、ナットに代表されるねじは、機械構造物、自動車、船舶、精密機械、電子機器をはじめ、さまざまな締結部に使用されているもっとも使用頻度の高い“締結要素”である。ねじが現在の形状になったのは300年以上前であり、その後1841年にイギリスの技術者ウイットウォースが初めてねじの規格を提案した。現在使用されているねじは、ねじ山の角度がウイットウォースねじの55°から60°に変わった点を除けば、大きな変化はない。一方、締結部に作用する荷重は増加の一途をたどっており、そのことがしばしばマスコミで報道されるねじの破損による大事故につながっている。
本書では、1.目標軸力でねじを締結する、2.ねじのゆるみ、3.ねじの疲労破壊という“ねじの三大難問”のメカニズムと対応策を、締結部の設計と施工、安全管理に携わる技術者向けに詳細に解説している。主要な部分は、著者の長年にわたる数値解析と実験により得られた研究成果によるものであり、実際に取り組んだトラブルシューティングの結果も解説されている点から、従来のねじに関する技術書と一線を画している。本書の出版により、関連分野の業務に従事する海外の技術者に対して、広く締結部の安全管理に関する知識と情報を提供することが期待される。
神戸大学 名誉教授 福岡俊道