アジアの土地法改革に関する研究成果の訳書。イギリス、アメリカ、日本、中国、カンボジアの事例に歴史的な洞察を踏まえ、近代化?開発過程の社会における法の本質に迫る。
本書は、米国における日本法?中国法研究の大家として知られる著者フランク?アッパム(Frank Upham)教授が、2010年度に神戸大学客員教授として滞在中に実施したアジアの土地法改革に関する研究成果の翻訳である。原著は Cambridge University Press から2018年に出版され国際的に高い評価を得た。
イギリス、アメリカ、日本、中国、カンボジアの幅広い事例を取り上げながら、土地の市場取引を土台とする経済成長が、静的な道具としての「法」の成果ではなく、むしろ「法」による権利の確執と闘争を経て展開されたとする歴史的な洞察を踏まえ、国際機関が今日アジア?アフリカにおいて主導する法制度改革に批判的視座を投げかけており、 近代化?開発過程の社会における法の本質に迫る。
研究者、開発支援に関与する実務家のみならず、法学部生などの学生を含む、多くの読者にとって示唆に富む啓蒙の書である。
神戸大学出版会 書籍紹介より