本書は、多変量正規分布の平均ベクトルの推定問題に対するStein推定の自己完結的な入門書です。
第1章は許容性、ミニマックス性、(一般化)ベイズ推定といった統計的決定理論の基本的な概念や結果についての議論から始めます。また、第1章ではSteinのリスクの不偏推定量やJames-Stein推定量も紹介します。以下の章では、共分散行列が単位行列の定数倍であり、損失関数がスケーリングされた2乗誤差である場合の、既知および未知の分散における多変量正規分布の平均ベクトルの推定について深く考察していきます。(一般化)ベイズ推定量の許容性、非許容性、ミニマックス性に焦点が当てられており、特に拡張されたStrawderman型の事前分布に関する(一般化された)ベイズ推定量のクラスを対象にしています。
本書のほとんど全ての結果について、自己完結的な証明を与えているのが大きな特徴です。数理統計学のみならず、データ分析能力を必要とする様々な分野の研究者や大学院生に役立つと考えています。
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