阪神?淡路大震災から東日本大震災を経て現在に至るまで、被災資料救済の対応に関わる救済技術の紹介やマニュアルが多数提示されてきたが、実は被災の状況は地理的状況や災害程度等によって大きく変容し、救済対象となる資料の状態も一様ではない。
本書はマニュアルにとどまらない、「考え方」に重点を置き、それぞれの「被災状況」に合った実践活動の手がかりを示す。
また資料をとりまく人と地域との関わりに注目し、救済から継承に至る経過のなかで実践を重ねるいくつかの取り組みを通して、社会のなかで活用される専門知のあり方についても考えることも課題とする。国際化に対応すべく、英語版も併載。
地域を主体とした被災資料の救済活動を広げていくために。
地域連携推進本部 特命准教授 松下正和