本書は、2022年2月に刊行した『金融論 第3版(ベーシック+)』の改訂版です。今回の改訂では、2022年から2024年にかけて金融の世界で起こった重要な出来事、たとえば「金融政策の正常化」などを反映し、新たな解説を加えました。一方で、重要性が低下したテーマは説明を簡素化し、全体の構成を見直しています。
近年、大学の2単位の授業では「15回の講義+1回のテスト」という形式が主流となってきたことを踏まえ、本書も15章構成としました。また、新たに第15章「生活者にとっての金融」を設け、第3版では各章に分散していた「金融経済教育」や「パーソナル金融」の話題をまとめ、内容を追加しています。さらに、実際に本書を講義で使用している先生方のご意見を参考に、第4章「金融政策のためのマクロ経済学」や第14章「ファイナンスの基礎理論」の説明をより詳しくしました。
一方で、講義時間の制約を考慮し、全体のボリュームは第3版と同程度に抑えています。重要性の高いテーマは説明を強化しつつ、冗長になりがちな部分は簡潔に整理し、一部は思い切って削除することで、よりスムーズに学習できるよう工夫しました。その結果、内容がすっきりとまとまり、初学者の方にもより理解しやすい構成になったのではないかと思います。
本書を通じて、金融の基礎的な理解を深め、実社会で活かせる知識を身につけていただければ幸いです。
経済経営研究所 教授 家森信善