また、本学では、本年を「神戸大学環境年2008」と位置づけ、様々な企画を展開して来たところです。教育研究活動と地域との連携を通して、神戸大学が地域社会そして国際社会に更なる貢献をしていく。「神戸大学環境年2008」は、そのメッセージであります。
本年5月には、地元神戸において G8 環境大臣会合が開催され、これに伴った多彩な関連行事が実施されました。その一例として、環境に関する課題をもって学生が交流する場を継続的に設定することを目的に開催された「持続可能な社会のための環境学生会議」では、関西10大学・高専の学生等約300人が参加し、環境問題の現状や問題解決に向けた新しい研究・技術について参加者の一層の理解を深め合いました。
このように本年は、本学にとって、また神戸市・兵庫県にとって、環境とかかわる画期をなす記念すべき年になりました。今後はこの問題について、本学も、一つの事業所としての責任ある対応が求められてくるものと思います。CO2 削減という目標は非常に重要であり、また大きな課題でもあるため、中長期的な視野に立って行政とも連携しながら取り組んでいく必要があると考えます。このため、神戸大学では、今後、環境対策の基本方針を策定したり、点検評価をするための環境マネージメントを確実に実施するシステムを学内に構築する予定としています。
さて、本学の今年の具体的環境対策では、昨年に引き続き、省エネ問題についてできることから確実に実施することとしています。特に、紙資源の削減については、『神戸大学オフィスペーパーリサイクル』として、使用済みコピー用紙などを溶解しトイレットペーパーへと再生させる活動を実施しています。また、教育・研究環境再生整備事業としては、平成18年度から順次、神戸大学第2次施設緊急整備5か年計画に基づいた既存建物の再生整備を行ってきていますが、その再生整備の中で、古くなった設備機器の省エネタイプへの更新を進めています。今後の施設整備においては、環境配慮契約法への対応として、建物の設計段階より環境へ配慮した設計が求められていることから、特にエネルギー使用量の多い病院地区等では、ESCO 事業の導入について、鋭意検討を進めているところです。
なお、本年、大学が行っている遺伝子組換え実験に関して法令違反の不祥事が明らかになり、大学外の環境に負荷を与えてしまったことについて、神戸市民や当局関係者等多方面の方々に、深くお詫び申し上げます。今後は二度とこうしたことが起きないよう管理システムを強化し、且つ実験者のモラル向上に全学的に取り組んで行く所存です。これらの取り組みについて点検と改善を繰り返し、安全で安心な実験研究環境を未来へ維持させることを約束いたします。
最後に、神戸大学の構成員全員が、『もったいない』と言う気持ちを行動に移すとき、大学は持続可能な社会の実現に向けて、確実な一歩を踏み出す原動力となると信じています。大学の持つ貴重な研究成果を、広く地域・社会へ還元させ、国際社会及び地域社会の発展に、貢献して行く所存です。